I could be perfect, I could die. 可能性としてのcould。 どちらも果たせなかった。一瞬のモーメントはそれまで積み上げてきた犠牲、散らかった潜在性を破壊し、生々しいほどの現実を突きつける。 couldはcanの過去形だと学校では教わったけど、それが意味…
どれだけ他人を傷つけながら生きてきたことだろう。 独りの夜に、曇った朝に、僕は今まで自分が傷つけてきたこと、その事実に押しつぶされそうになる。 自分の存在など、他人を傷つけることばかりしてきたんじゃないかって思うことがある。 誰からの世話も受…
昨日言葉少なに挨拶したウクライナから来たという中年の男性はときどき考え込むように立ち止まりながら準備をしたあと、僕がパンとジャムとコーヒーだけの朝食を取っている間に出ていった。 小さな部屋に置かれた三段ベッドに残ったのはドイツ語を話す若者二…
旅をする。 君は旅に出れば誰にでもなれる。日常の君を知る人はここにはいない。見慣れた景色もここにはなくて、あの嫌な思い出も思い出さなくてすむ。遠くから来た人としてスターになれる。そうだ君は自由だ。何をしたっていい。 君は旅の中で誰にもなれな…
例えば 「あなたなんか会いたくない」という気持ちと 「あなたに会いたい」という気持ちの近さであったり、 「どこにも行きたくない」という気持ちと 「どこか遠くに行きたい」という気持ちの近さというものがある。 もっと言えば、それらは同じことだったり…
――君は自由だ、どこにでも行ける、何でも出来る、何者にもなれる。僕は若くて、これまでずっとそう思っていた。 実際は自由というのは限られていて、いくつもの制約の中で僕らは「自由」をやっているわけではあるのだけど。 でも少なくともメンタリティとして…
過去の記憶。 それは時に僕たちを楽しませ、時に僕たちを苦しめる。 「思い出はいつも美しい」と寺山修二は書いたが、そんなことはない。 美しいものも辛いものもある。 こんなに沢山の過去と記憶を背負い続けてこれからも生きていかなければならないのか。 …
先日、スペイン人の友達のお別れ会飲みがあって、スペインからの4人とナイジェリアからの留学生1人と一緒に飲んだ。 いや、別にスペインからだからって皆明るいわけじゃないと思うんだけど、この4人はそれぞれ違った方向性で皆明るい。 ちなみにナイジェリア…
日が昇る少し前、あるいは日が落ちた少し後。 自分のいる地面より少し高い場所を日が照らすことがある。 自分には見えない太陽があそこからは見えるはず。 たった数メートルの違いで自分には届かない場所。そこには別の景色が広がっている。 きっとこんな少…
「かけがえのない」なんて皆は言うけれど、それはどこにあるんだろう。 「命はかけがえのないものです。地球よりも重いのです。」 小学校の道徳の教科書ではハートマークと地球が天秤にかけられていて、ハートマークに傾いている。 毎日のように誰かが殺めら…
大切な人のことをみんなはどんな風に思うのだろう、 とりあえずその人を思う自分は、なるべく元気でいたいと思う。それはなんというか、けっこう大事な気がする。 陽気でなくていい。あくまでも元気、ぐらいで。 A post shared by 熊谷隼人 Hayato Kumagai (…
youtu.be 映画「candy」を観た。 作家志望だが全く売れない男と、画家志望だがこちらも芽が出ない美しい女性Candyの儚い愛の物語。 二人は愛とドラッグに溺れ、日々を夢のように送るが、とにかく金がなくてCandyは売春、結婚し妊娠するが流産、郊外に引っ越…
山を下り、凍り付いた大きな湖のもとに出た。 自動車もほとんど通らない道をトレッキングシューズで歩く。 葉を落とした木々に囲まれて、一軒の小さなログハウスが湖を臨んでいる。 その軒下にはバスタブやバーベキューセットなどがあって休暇を過ごす家族の…
愛は対称性を求める。 相手のことを愛すれば愛するほど相手のことが信じれなくなる。 自分が相手を愛するように、相手は自分のことを愛してほしい。 これが無限にループされることで哀しいことに愛は憎しみに豹変することがある。 このような意味で愛は対称…
人はなぜ橋に鍵をつけて愛を誓うのだろうか。 川の上を通り抜ける冷たい風が吹き付ける中で色とりどりの鍵が取り残されている。 橋が両岸を結びつけるものであるとするならば、橋は二人をつなぐ愛だ。 その橋に二人の名前を刻んだ南京錠は結び付けられる。橋…
カミュの『異邦人』の有名な一節 殺人の動機を問われて主人公は以下のように答える。 「太陽が眩しかったから」 彼は事件に巻き込まれるような形で人を殺めてしまうのだが それにしてもこの答えは奇妙だ。 実際このことや母親の死への無関心さから冷酷な人間…
なぜ人は旅をするのか。 インターネットが常に手元にあり、検索をかければどこの地域のことだって「知る」ことができる。 旅は疲れる。 おまけにお金もかかる。 それなのになぜ人は旅を続けるのか。 この2か月のほどはクロアチア、スロヴェニア、スペイン、…
飛行機が空港に降り立つ。 長時間のフライトで鈍った体を抱えながら、心待ちにしていた街に期待は高まる。 しかし、空港の多くは街のはずれにある。 当然、空港は多くのスペースを必要とするからだ。 大体、バスや電車やタクシーで中心部まで向かわなければ…
大学は冬休み。 ヨーロッパからの留学生友達はクリスマスで故郷に帰り 他の地域からの友人もテストが終わり、帰りの飛行機までの時間に旅行をしている。 外は相変わらず寒くて、外出するのが億劫になる。 文字通り外に出るのが一日に数回で、それもコーヒー…
寺山修二は言った ― 思い出はいつも美しい ― おれは歴史なんか嫌いだ 思い出が好きだ 国なんか嫌いだ 人が好きだ * * * 僕は基本的には思い出を背負って抱え込んで生きていくのは 嫌だなと思っているのだけどこの言葉は好きだ。 そしてこの言葉を聞くと思…
朝起きたら雪が積もっていた。 いつものように窓の外を見ると静寂に包まれた白い世界。 朝に積もっているとなると 夜の暗いときから降っていたということなんだろう。 夜の闇に抵抗する真っ白な雪。 世界を覆ってしまおうという二つの力がせめぎ合う。 人び…
Hennaはフィンランドから来た背の高く健康そうな体形の女性で シルバーブロンドの細い髪をところどころ青く染めている。 片耳にだけ大きなピアスホールを開けている。 彼女の部屋は僕たちの部屋の隣で僕のルームメイトもフィンランドからなので 自然と仲良く…
英語で彼女と何気ない会話をする。 僕は元来、日本語でも何気ない会話というのが苦手である。 誰かの口から発せられた脈絡の薄い断片的な言葉というのは 常に不意に頬を叩かれるようなもので毎回はっとして少しオロオロしながらも、 それが知られないように…
Miss Misery by Elliott Smith [Lyrics] Good Will Hunting (ending song) 昨日の夜、仲良くしていたベルギーからの留学生JonathanのFarewell Partyがあった。 日本語にすれば「お別れ会」。 でもFarewellという単語にはそんな悲しさに満ちた印象はなく 辞書…
大切にしてきたものを壊してしまいたい。 今まで大切にしてきたもの育て続けてきたもの そんなものは床にぶつけて粉々にしてゴミ箱に捨ててしまえばいい。 たとえそれが一瞬魔がさしたというだけであっても それに後悔はしない。 いや、こんなことしてよかっ…
Kiyoshiro & Chabo - 君が僕を知ってる 僕の個人的な友達やTwitterを見た人は知っていると思うのだけど 僕は夏から1年間の留学をしている最中である。 来てから2か月半ほど経つところだが、ついこの前日本から親友が会いに来てくれた。 彼とは高校の時からの…
愛とは何だ。 もし気にかける、その人を思うということが愛なのだろうか そんなような気もする。 しかし、どうしても気になってしなう、どうしても頭から離れないということが愛なのだろうか。 するとどうだろう 気になってしまうということがネガティブな意…
(なんか某論文をもじったみたいになっているけど、これがタイトルとしてしっくりきたので。) 以前、Twitterにも書いたのだけれど 何となくもう少し形にしたかったから書いてみる。 この世界は果てしなく膨大だ。 例えばインターネットで何かを検索してみる…
Mogwai - Every Country's Sun (2017) [Full Album] (今から書くことは何となくこの音楽がよく表している気がするので良ければ再生しながら読んでください…) いつのころからか胃が弱くなっている。 それも空きっ腹に酒を飲んだりするからなんだけれども。 …
目を合わせるときはっとすることがある。 彼女の目はエメラルドグリーンで中心には深い黒の世界。 普段は伏し目がちに話すことが多いから目を見ることは多くない。 こちらに来て多くの人が目を見て話すから努めて目を合わせるようにしている。 しかし、目を…