Bridge, Key and Love

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人はなぜ橋に鍵をつけて愛を誓うのだろうか。

川の上を通り抜ける冷たい風が吹き付ける中で色とりどりの鍵が取り残されている。

橋が両岸を結びつけるものであるとするならば、橋は二人をつなぐ愛だ。

その橋に二人の名前を刻んだ南京錠は結び付けられる。橋がいつまでも存在することを信じて。

鍵には今さっき付けられたような真新しいものから、名前が消えてしまっているもの、錆びて石のようになっているものまである。

少しでも他のとはちがうようにハート型のものから近くで買ったであろうシンプルなものまである。

愛がそうであるように橋もいつかは壊れてしまうかもしれない。

しかし、それを分かったうえで永遠だと信じる行為が尊いのである。

 

この鍵をつけた恋人達は今どこでどんなことをしているのだろうか。

名前が消えてしまった鍵の持ち主はどこを彷徨っているのだろうか。

 

買ったときについていた開錠のための鍵はどこにあるのだろうか。

二つついていたならばそれぞれ持っているのだろうか。

一つであったらどちらが持っているのだろうか。

あるいはどちらも持っていなくて、川に放り投げてしまったのだろうか。

「外す必要なんてないよ」と。

 

鍵は持ち主に置き去られ、橋の上で冷たい風にあたり、雨に打たれ、今日もそこに静かに佇んでいる。

恋人達のことを考えながら。

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