正しいこと

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例えば「真実」が大切な人を傷つけるとしたとき、それはもはや真実ではない。

より正確に言えばそれは正しさではない。

僕は誰にとっても当てはまるような真実や正しさのようなものを求めて、科学だったり知識だったりを渇望してきた。

ときにはそれを振りかざして自分の言う「正しさ」を押し付けた。

大切な人の頬には涙がつたった。

そこに正しさは無くて、あるとするならば孤独な自分だけだ。

大切な人を傷つけることでようやくそれが分かった。正しさとは大切な人のためのものだと。

逆に言えば、それを思うほどの大切な人ができたということかもしれない。

でも、いつだって失敗してばかりだよ。

今日も君を泣かせた。

僕はいつも失敗してばかりだ。

だけど少しずつ僕は正しさを手にし始めている。

傷だらけのごつごつした手には繊細すぎて壊してしまいそうな、小さな正しさを手にし始めている。

ときどき扱いを間違えて君を傷つけてしまうけれど。

僕は確かにこの可憐な正しさを与えられたんだ。

ねえ、君はどう思う。