かもめ

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君が遠くを見つめて指さす
「陸が見えるよ」
イスタンブールの風の強い港から船に揺られてきた
焼きとうもろこし売りと釣り人たちが集う港から
小さめのフェリーの中の人は夕陽の中で微睡んでいる
船先には太陽が海面に反射して眩しい
僕たちは手を繋いで2人とも別々の音楽を聴いている
ティファン・スティーヴンスの優しくほろ苦いコーラスが、深い眠りに落ちる寸前のような気分にさせてくれる
かもめが斜め上に向かって羽ばたく
僕は君の横顔を見る