2020-01-01から1年間の記事一覧

僕らは空を見上げるために生きている

朝5時くらいに目が覚めた、少し隙間を開けておいた窓から流れ込む冷たい風と、多分それにともなった悪い夢のせいだ。硬直した身体の向きををやっとの思いで変える。 起き上がって、ゆっくりとフィルターコーヒーを淹れて、目玉焼きを作って食べた。 外は晴れ…

Life goes on, CRUELLY!

家にいる時間が長くて、特にやることもない。 パソコンやスマホの画面を見続けることにも飽きた。 酒を飲む機会が増えて、煙草の本数も増えて、胃の調子がおかしい。煙草を吸った後に、軽い吐き気がある。 街は、通常のように戻っているが、自分の生活は3月…

Dreaming of You

一人で考える時間が長いと、なんだか昔に戻ったみたいだと思う。 ことがあるごとに何かを考えていた。 そのときを思い出すと、生ぬるい春の日射しを黄色い自転車で走ったことや、霧っぽい夜道をほろ酔いながら歩いた光景が浮かんでくる。 昔、気が狂ったよう…

あれから

あれからずっと考えている。 料理を作っているときとか、皿を洗っているときとか、シャワーを浴びているときとか。 自分は悲しいんだろうか、涙は出かかって出ない。 一体何が悲しいのだろうか。 今まで誰かが亡くなったときに、それを電話で聞いたり、文面…

祖父の死

祖父が亡くなった。 97歳の大往生だった。 ときどき身体の痛みを訴えながらも何度も回復し、自炊して食べるほど健康だった。2週間ほど前に腰が痛くて自宅で横になっているという話だったが、両親が会いに行き、食事を用意すると十分に食べ、少し体調もよくな…

曇りの春空

早朝から雨がベッドの真上にある天窓を叩いていることを気にしながら、半分眠りにつきながら横たわっていた。 充電していたスマホが机の上でアラームを鳴らしていて、やれやれと思いながら立ち上がってアラームを止め、そのままSoundCloudを開いて、適当なミ…

不思議な世界

少し用事があったので、近くに住むクラスメートたちと駅で待ち合わせた。今日はことさら風が強かった。 彼女らは寮から2キロほど歩いてきたみたいで、約束していた時間通りには来なかった。 このターミナル駅では外出禁止令でそれでこそ人は減ったが、それな…

帰れぬ人びと

日本からヨーロッパに向けて旅立つとき、それは七月の終わり頃、まだ蒸し暑さもない、さわやかな夏の初めだった。 文学好きの大学の友人が餞別として本を送るということだったが、結局出発までには間に合わず、さらに数か月が経って、僕がウィーンにいるとき…

ブダペストのチャイニーズ・ショップ

朝から二日酔いの終わりかけのような頭痛が治らなかった。 その前日には、はるばる日本から来てくれた兄夫婦と兄の奥さんの母と一緒だったウィーン、ブラティスラバ、ブダペストの中欧三都市をたどる旅行も終わりを告げ、ブダペスト東駅で見送ったばかりだっ…